ボーカロイドと いう言葉を聞いたことがあるけれど、ボーカロイドとは何かかよく分からないと言う方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、ボーカロイドとは何かについて簡単にまとめてみました。
1.ボーカロイドはソフトウェアです
VOCALOID(ボーカロイド)とは、もともとヤマハが開発した音声合成技術のことを指していました。
人の声をあらかじめ録音してデータとして記録しておいて、利用者がメロディーと歌詞を任意で打ち込むと、その通りに歌ってくれるという簡単かつ画期的な技術です。
そのヤマハとライセンス契約を結んだ会社は各々録音サンプリングしたデータとヤマハの技術を組み合わせてソフトウェアとして販売するようになりました。
以降、ボーカロイドはソフトウェアという認識が一般的に広まったのです。
それ以前はパソコンで曲を作る際にドラムやキーボード、ギターやベースの音色はありましたが、ボーカルは他の楽器の音でメロディーを打ち込むか自分で歌う以外の選択肢がありませんでした。
ボーカルロイドの登場によって、一般の音楽家でも簡単に歌入りの楽曲を自宅で制作出来るようになりました。
その技術はバージョンアップするごとに飛躍的に向上し、ビブラートやこぶし、抑揚や声色も数値入力で簡単に指定出来るようになりました。
2017年現在の最新版の「VOCALOID4」では、グロウルと呼ばれる叫び声も収録されて簡単に再現出来るまでに至りました。
2.初音ミクの登場
「初音ミク」という言葉をなんとなく聞いたことがある人は意外と多いのではないかと思います。
初音ミクは、2007年に登場したボーカロイド2の技術を元にクリプトン・フューチャー・メディア社が発売したボーカロイドのキャラクターです。
ボーカロイドをただ声として発売するのではなく、可愛らしい女の子のイラストをパッケージに載せることによってより歌声にリアリティが増した。
初音ミクの登場により、ボーカロイドとは何かよく分かってなかった人たちにもボーカロイドが浸透し、初音ミクはヤマハやクリプトン社の想像を遥かに超える大ヒット商品になりました。
その歌声もキャラクターとよく合っていて可愛らしく明るい声になっています。
バンド活動をしていて自宅でオリジナル曲のデモを作っていたミュージシャンだけでなく、その頃増え始めてきたDTM(デスクトップミュージック)と呼ばれる自宅で一人でパソコンを使って楽曲制作をするミュージシャンは初音ミクの登場で飛躍的に増えました。
使い方も非常に簡単でソフトを起動してメロディーを打ち込み、歌詞を打ち込み、再生するだけ。ニュアンスも一語一語変えることが可能です。
完成したものをオーディオファイルとして出力したら、後は自分が使っている作曲ソフトにインポートするだけです。
こんな簡単に自分の楽曲を完成させられる日が来るとは予想だにしませんでした。
初音ミクの大ヒットの影響で続々と別のキャラクターのボーカロイドが発売されるようになり、「鏡音リン・レン」や「巡音ルカ」なども初音ミクと操作方法が変わらず操作が簡単だと広まって、続けて大ヒット商品になりました。
3.ボカロPの登場
ボーカロイドを使うDTMのミュージシャンは基本的にライブ活動をしない方が多いです。
一人で活動しているのでライブでの再現が難しいという理由が一番多いかも知れません。
そうなると完成した楽曲はどうするのかというと、「Youtube」や「ニコニコ動画」などの動画投稿サイトに発表する人が増えました。
これによってライブをするよりも簡単に自分の楽曲をより多くの人に聴いて貰えるようになりました。
初音ミクなどのキャラクターの人気もあってボーカロイド楽曲は次々と動画サイトで注目されるようになり、中には再生数が何十万、何百万という驚異的な記録を作ってメジャーデビューする制作者も出てきました。
ボーカロイドを使って楽曲制作している人は、ボーカロイドのプロデューサーという意味を込めた「ボカロP」と呼ばれるようになりました。
代表的なボカロPとしては、千本桜を作った「黒うさ」、マトリョシカを作った「ハチ(後に米津玄師としてデビュー)」、東京テディベアを作った「Neru」です。
人間が歌えないようなキーの歌でもボーカロイドならば簡単に歌ってくれるので、ボカロPの楽曲は既存のメジャーの楽曲と異なるアプローチやメロディーが多く使われています。
後、何故か早口な歌も多いです。人間だと息継ぎが出来ないとか噛んでしまいそうなものもありますが、それもボーカロイドならば簡単にクリアしてくれます。
少し機械的な声なので人間の歌声を完全に再現出来てるとまでは言えませんが、逆に人間には難しいことも簡単にこなしてくれるのは大きなメリットでもあります。
4.まとめ
ボーカロイドの登場によって音楽シーンに新しい変化が生まれました。
ライブハウスでは楽器を人間が演奏し、ボーカルを初音ミクにするという変わったバンドも出てきました。
今後も新しいアプローチをするボカロPが次々と登場してくるでしょう。
メジャーシーンのど真ん中の音楽ではないですが、だからこそ制作者が好き勝手作った面白い楽曲が多いのがボカロPの楽曲の魅力だと思います。