トラックドライバーが不足?その原因と打開策とは

トラックドライバー

宅配業者の運賃値上げや受付時間の短縮など、トラックドライバー不足が深刻化して物流業界が変わりつつあります。

その現状や打開策について調べてみました。

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1.トラックドライバーの人口

トラックドライバーの人口は2006年の約92万人がピークで、以降は減少を続けています。その2年後の2008年には一気に約86万人にまで落ち込みました。

その中で更に深刻なのがトラックドライバーの高齢化です。

トラックドライバーの中で60歳以上の高齢者は何と約15%にもなっています。

慢性的なトラックドライバー不足に加えて高齢化も急速に進んでいて、物流業界は危機的な状況を迎えつつあります。

実際に2013年には消費税増税前の駆け込み需要でトラックドライバー不足が一気に加速して、運送業者が確保出来ない、納期に間に合わなかった、運賃が高騰したなどの問題が国土交通省に報告されました。

その後消費税が上がってトラックドライバー不足は和らぎましたが、依然として原因を解消出来たと言えない状況が続き、荷主側の心配の声も日々増加しています。

不足になっているトラックの大半は大型トラックが占めており、国内の物流の土台を支えてきた大型トラックのドライバーが特に減っていることが分かりました。

原因として、大型トラックのドライバーには高い運転技術が求められるため、年齢層が必然的に中型トラックよりも高くなるということがあります。

そのため、トラックドライバーの人口が減っている中でも特に大型トラックのドライバーの割合が多くなっているのです。

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて現在インフラの整備を進めていますが、その公共事業もトラックドライバー不足の原因の一つになってしまっています。

政府は2020年に予想されるトラックドライバーの需要量を約92万人と見込んでいますが、このまま減少を続けていくと最大で約10万人ものトラックドライバー不足になる危険性があると懸念しています。

トラックドライバー不足が原因でインフラ整備が遅れ、オリンピック・パラリンピックの開催に影響が出る恐れもあり、トラックドライバー不足は物流業界だけでなく、国を挙げての問題にまで深刻化していきそうです。

2.トラックドライバーの悲鳴

ネット通販の拡大もトラックドライバーの不足の原因の一つとなっています。

その手軽さとサービスの良さでネット通販のトップに君臨するのがAmazon社で、2016年度の売り上げは1.1兆円超えと着実に業績を伸ばしています。

2013年に宅配大手の佐川急便がAmazon社から撤退していて、現在はほぼヤマト運輸の独占状態になっています。

これに加え、再配達と時間指定の制度が配達を担当するドライバーの仕事量の増加の原因になっています。

配達時に留守だった場合は荷物を置いてこれないので再配達を促す用紙を置いていくのですが、連絡をくれない顧客が多いことが分かりました。

何度も再配達をすることでドライバーの業務量も限界に達してしまい、ヤマト運輸は再配達締め切り時間の切り上げと時間指定の見直しを発表しました。

宅配最大手のヤマト運輸ですらこの状態になってしまったことは大きな話題になりました。

今後もAmazonをはじめとするネット通販の業績は増加する一方と予測され、宅配業者の負担の原因はまだまだ解消に至っていません。

また、長距離輸送のトラックドライバーも勤務時間、速度規制が厳しくなり以前のように稼げなくなったと言われています。

度重なる重大事故や労働環境見直しの声が高まり、以前と同じ条件での輸送が困難になり給料も減ってしまい、結果としてトラックドライバー自体を辞めてしまうなんて話も聞く程です。

上記のような悪循環が重なり、運送会社の中にはトラックがあっても乗ってくれるドライバーがいないのでトラックを遊ばせている状態になっていることもあるそうです。

原因の解決には荷主企業への運賃値上げの促進、今は当たり前になってしまったトラックドライバーによる積み降ろし作業の軽減、事故やトラブルの際のトラックドライバーへの罰則の緩和を早急に進める必要があります。

トラックドライバー不足の解消には若者を育てる環境、女性でも働きやすい環境が作れるかという点も重要になっています。

免許制度も変わってしまい中型トラックの運転にも中型免許が必要になってしまったので、中型免許、大型免許、けん引免許の取得の補助が出来るかもトラックドライバー不足に大きく関わってきています。

運転だけは機械化が出来ないということを関係省庁に改めて考慮して貰い、今すぐトラックドライバー不足を解消出来るような環境を整備する必要がある程事態は緊迫してきています。

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3.フリーランストラックドライバーの登場?

深刻なトラックドライバー不足の解消になる可能性として注目されているのが「Uber」と呼ばれるサービスです。

すでに欧米やアジアでは大人気になっていて、タクシーを必要としている利用者がアプリに行き先と人数を入力すると近くにいて利用可能なタクシードライバーに情報が届いてマッチングを行ってくれるというサービスです。

これと似たようなサービスをAmazon社はトラックドライバーと荷主間で行おうとしているのです。

商品を販売している店舗で発送の依頼があった時にオリジナルのアプリを通じてトラックドライバーのスマートフォンにお知らせが届き、配達可能なトラックドライバーが配送を担当するというものです。

アプリには物量や行き先とともに、トラックドライバーに支払われる手数料、積み込み場所から荷降ろし場所までの最短ルートも表示されます。

店舗とトラックドライバーを直接マッチングすることによってAmazon社は約15%かかると言われている仲介手数料をカットすることが出来ます。

このサービスが広く業界に浸透すれば、トラックドライバーは運送会社に属さずとも仕事を請け負うことが可能になります。

これによって長時間の労働が難しかった子育て中の母親やフリーランスで活動する元トラックドライバー、定年を迎えて定職したトラックドライバーでも自分に合った仕事を探すことが出来るのでトラックドライバー不足の解消に繋がるのではと言われています。

運送会社の方でも、社員を雇う余裕はないけれどトラックが空いてある場合にトラックを貸し出すサービスも提供出来ることになり、一石二鳥となる可能性もあります。

トラックドライバーの経験はあるけれど長時間の勤務は難しい、そういった方を取り込む事でトラックドライバー不足の原因の解消の一角になるのではと言われています。

近場の仕事や短時間の仕事して請け負うことが出来なくても、中間手数料が発生しないのでトラックドライバーへの手数料もそのまま貰えることになり、収入面でもトラックドライバーのメリットは大きくなりそうです。

近年若者のフリーランス化が進んでいるので、フリーランスの若手トラックドライバーが深刻なトラックドライバー不足の原因を改善してくれればと思います。

これによって高度経済成長期の頃のようにトラックドライバーはやった分だけ稼げるとまた言われるような時代が来るかもしれません。

どんな形であれ若者を取り込むことはトラックドライバー不足の原因解消に欠かせないことなので、Amazon社を筆頭にこのサービスが広まっていくかが重要な鍵になります。

国と企業と個人とが協力してこの原因を解消して欲しいです。

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4.まとめ

トラックドライバー不足はもはや深刻な状況になりつつあり、荷主側も運送業者の確保が難しく、運送会社もトラックドライバーが足りずに全て請け負うことができないという悪循環になっています。

即日配送、荷物の破損の少なさと、世界トップレベルの物流サービスを維持していくには、

  • 荷主側は運賃を上げる
  • 運送会社はトラックドライバーの給料を上げたり若手のトラックドライバーの育成をする
  • 国は育成の支援をしたりトラックドライバーの負担を軽減する対策を取ったり個人も参加出来るような形態を整備する

といった形でお互い協力して取り組むことが大切です。

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