次々と大手企業が解禁している「副業」。
厚生労働省の定める「モデル就業規則」の中にある“副業禁止”というワードが取り消され、代わりに「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が提示されました。
これにより、これまでの「日本らしい働き方」という固定概念が取り壊され、自由な働き方を国が率先して進めていますが、一方で未だに副業を認めていない企業が圧倒的に多いのが実情です。
そこで今回は、そもそもなぜ副業を禁止しているのかについてまとめてみたいと思います。
1.会社員の副業を禁止している割合
まずはじめに、大手企業が「副業解禁」というニュースが一時期メディアをにぎわせていましたが、現在日本で副業を認めている企業は、全体の20%程度にとどまっており、未だ全体の8割近くがまだ副業を認めていないのが実情です。
◆副業を推進・容認している企業
「副業を推進している企業」が0.3%、「容認している企業」が22.6%となっており、極めて消極的な企業が多いです。そのほか77.2%の企業では、現在も副業を禁止しています。
推進・容認している企業を業界別に見ると、「建設業」が最も高く26.0%の割合を占め、次いで「サービス業」が24.4%になっています。
また、社員規模で比較してみると、「10~49人」の企業が25.6%の割合を占め最も多く、次に「300人以上」が19.5%と多い傾向にありました。
さらにエリアで分けてみると、「北海道・沖縄」が30.7%とトップに。
その次が「首都圏」で26.0%でした。
◆副業を推進・容認する理由
労働環境がキツイと思われがちな、建設業やサービス業、さらに人手が足りなそうな中小企業や競争の激しい首都圏などで副業が推進・容認されている理由とは何なのでしょうか。
意外にも、企業が副業や兼業を認めている理由の多くは、「特に禁止する理由がない」(68.7%)ということでした。
次に多い理由は、「社員の収入増につながる」(26.7%)という理由で、思うように給料をあげられない中小企業や昇給に時間がかかる大企業などの経営者の親心なのかもしれません。副業を推進・容認している企業は、「本業に支障が出なければOK」というような前向きな見解が多いようです。
一方で、副業を認めていないおよそ8割近い企業は、どのような理由から副業を認めていないのでしょうか。
次項では禁止をする企業について詳しくみていきます。
2.会社員が副業を禁止される理由
8割近い企業が会社員の副業を認めない理由として「社員の長時間労働・加重労働を助長する」という理由が最も多く、次いで「情報漏えいのリスク」(24.4%)、「労働時間の管理・把握が困難なため」(19.3%)などといったマネジメント目線でのリスク管理を踏まえた後ろ向きの理由が多いようです。
企業が大きくなればなるほど社員の雇用に対する責任も重くなり、何か問題がおこった時の責任が取れないというのもあるかもしれません。
また、せっかく採用した人材が副業に影響されて本業の会社を辞めたり、競合や他社での副業がきっかけで人材が流出してしまうといったことも恐れているのことが背景にあるのだと思います。
さらに、古き良き日本の流れとして、「一つのことだけ執着するのが美徳」というような考え方の名残や、周囲で禁止しているから何となく禁止にしている、という企業も少なからずあるようです。
3.まとめ
現代において、「副業」という選択肢は、個人のスキルアップや収入増など考えると非常に大切な選択の一つだと思います。
副業推進・容認派の企業は社風もポジティブに見受けられましたが、副業を認めていない派は、社員の成長やレベルアップは会社が決めたように行い、自社の利益だけを考えたネガティブな見解が多く見受けられるように感じました。
そのような企業に依存した考え方は、現代ではあまり好まれない考え方になりつつあり、個人の成長も阻害すると思います。
副業の可否を決める場合には、「社員の納得」を得られるような説明の仕方などが大切になると思います。
タイトルのあるように、副業を認めていない理由が「しょうもない」ことが多く、そのような企業が未だ多いことに少し残念に思えました。