健康志向の高まる昨今では、余暇時間で身体を動かす人が増えてきています。
ダイエットやストレス解消など、運動の目的はさまざまですが、運動のやる気を削ぐ現象も度々現れます…そう、それは「筋肉痛」です。
だるさ・熱っぽさ・うずくような痛みが表れる筋肉痛は辛いですよね。
日常生活に支障をきたし、早々に運動を諦めてしまう人もいるようです。
その一方で、筋肉痛知らずの人もいます。
今回は辛い筋肉痛に着目し、なる人とならない人の違いや、筋肉痛を和らげるポイントについてまとめました!
目次
1.筋肉痛のメカニズム
一般に筋肉痛と呼ばれる症状は「遅発性筋痛」といい、運動後時間を置いて起こる筋肉の痛みです。
運動後から発生までの時間幅は、数時間~翌々日と個人差があります。
筋肉痛のメカニズムは医学的に解明されておらず所説あります。
現在一番有力な説が、運動によって傷ついた筋繊維を修復しようとするときに起こる痛みという説です。
筋肉痛が起こるメカニズムは、下記のような流れです。
- 激しい運動により、筋繊維が損傷し、細かい傷ができる
- その傷を修復しようと、白血球が集まる
- 炎症が起こり、発痛物質(ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジンなど)が生産され、筋膜を刺激し痛みを感じる
筋繊維そのものに痛みを感じる神経はなく、炎症によって広がった発痛物質が筋膜(筋繊維を包んでいる膜)に届いて初めて痛みを感じるため、痛みが時間差で生じるのです。
2.筋肉痛になる人とならない人がいる?
運動によって筋肉が傷つき、それを修復する過程で起こるのが筋肉痛です。
それでは、筋肉痛になる人とならない人がいるのはどうしてでしょう?その差が生じるポイントは主に4つあります。
- 筋力
- 運動前後のケア
- 水分
- 運動内容
結論から言うと、筋力の低い人が、運動前後のケア・水分補給を十分に行わない状態で、強度の高い運動を行うと筋肉痛になりやすいのです。
3.筋肉痛にならない人の特徴
それでは、筋肉痛にならない人の特徴を見ていきましょう。
その特徴から、予防対策もみえてきます。
3‐1.普段からトレーニングしている
運動で傷ついた筋肉は、修復する際に元の筋肉よりも少し太く成長します。
これを「超回復」といいます。
つまり筋肉痛は、筋肉が成長する過程で生じる痛みでもあります。
筋肉は使わないと痩せてしまうため、運動不足状態では筋肉量が低下します。
また、筋肉量が同等レベルあったとしても、使っていない筋肉の場合、神経から筋肉への指令が上手くいかず「眠っている」部分があります。
普段からトレーニングをしている人は、運動習慣のない人に比べて筋肉量が多く、神経から筋肉への指令も活発なため、効率良く筋肉を使えています。
そのため、同じ内容の運動をしても、トレーニング習慣のある人は、運動習慣のない人に比べて筋肉痛は起こりにくくなります。
3‐2.運動前後のケアをしっかりしている
運動前のウォーミングアップ、運動後のアイシングなど、運動前後のケアをしっかり行うと、筋肉痛が起こりにくくなります。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢でいる人は、特定の筋肉が固まっている状態です。
筋肉が固まった状態で急に身体を動かすと、筋肉の収縮と弛緩が上手く起きないためにダメージが大きくなります。
ウォーミングアップとして軽いジョギングやストレッチを行うと、血行が良くなり、筋肉が「収縮と弛緩の準備」をするため、ダメージが軽減できます。
また、運動後のアイシングは、炎症の広がりを抑える効果があるため、回復を早めてくれます。
3‐3.水分補給が適切
筋肉痛にならない人の特徴に、こまめな水分補給があります。
運動で汗をかくことで血液中の水分が不足すると、血液の濃度が上がり、循環が悪くなります。
血液循環が悪くなると、筋肉に酸素や栄養が十分に届かなくなり、炎症しやすく回復しにくい状態となり、筋肉痛が悪化します。
筋肉痛を防ぐためには、運動前後だけでなく、運動中にもこまめに水分補給が必要です。
3‐4.運動強度が足りない
「筋肉痛=筋肉が成長する過程で生じる痛み」です。
筋肉痛が起きない場合は、自分の筋力・体力に対して、運動の強度が軽い可能性があります。
今の体力が「10」だとしたら、「11」のトレーニングをしなければ、筋肉は成長できません。
もちろん、「8」や「9」のトレーニングでも、健康維持やダイエットには効果はありますが、筋肉を肥大させる「バルプアップ」や、身体を引き締める「シェイプアップ」目的には向きません。
4.筋肉痛を和らげるポイント
筋肉が成長する過程とはいっても、やはり痛みは避けたいものです。
ここからは、起きてしまった筋肉痛を和らげるポイントを5つ紹介します。
4‐1.激しい痛みはアイシング
痛み・熱があるときは「冷やす」ことが基本です。
アイシングには、2つの効果が期待できます。
- 血管を収縮させて、炎症を抑える
- 血流が抑制され、痛みを伝える神経をマヒさせる
アイシングには、冷却スプレーを用いて行う方法もありますが、一般的な氷を用いたアイシング方法をご紹介します。
- ビニールタオルに氷を入れ、タオルで包む
- 熱を持つ部位にあてる
- 10分~20分程度続ける
ポイントは、運動後すぐに行うことです。
アイシング後も痛みが続く場合は、10分ほど待ってから再度アイシングを行ってください。
長時間のアイシングは凍傷の原因となりますので注意しましょう。
1.では氷嚢を用いると便利ですよ!
4‐2.だるさを感じる場合は温める
痛みが引いたら「温める」が基本です。
運動後、2~3日経過してもだるさが抜けない場合は、お風呂に浸かってよく温め、軽くマッサージをしてあげるのが効果的です。
痛みが引いたということは、炎症は治まっているので、あとは回復を待つだけです。
身体を温めることで血流を促進すれば、回復のために必要な酸素や栄養がめぐりやすくなります。
強いマッサージでは、炎症を引き起こしかねませんので、あくまでも軽いマッサージを心掛けましょう。
4‐3.ストレッチで身体をほぐす
ストレッチは、筋肉痛の予防・回復、どちらにも効果的です。
目的や効果・動きの特徴によって、ストレッチには大きく2つに分類されます。
<動的ストレッチ>
目的:筋肉の柔軟性と温度向上
効果:ケガ予防・パフォーマンス向上
動き:複数方向に動く。ラジオ体操など
<静的ストレッチ>
目的:可動域の向上・老廃物を流す
効果:心身のリラックス・疲労回復
動き:単方向に動き、20~30秒間姿勢をキープ
おすすめは、運動前に「動的ストレッチ」で身体にエンジンをかけ、運動後にクールダウンも兼ねて「静的ストレッチ」で身体を整えることです。
4‐4.栄養補給
運動後、筋肉の回復に必要な栄養素を速やかに補給してあげると、筋肉痛予防に効果的です。特に摂りたい栄養素は以下の4つです。
- 糖質
- たんぱく質
- ビタミンB群
- 水分
糖質・たんぱく質を同時に摂取すると、筋肉のエネルギー源が回復し、筋肉の修復を促します。
そして、ビタミンB群は代謝に関わり、疲労回復にも効果的です。
運動で失われた水分を補充することで身体のめぐりが良くなり、回復を早め、疲労物質の排出を促します。
運動後、おすすめの食品は以下のような食品です。
- おにぎり(シャケ・ツナなど)
- サンドイッチ(卵・ハム・野菜など)
- 牛乳
- ヨーグルト
- チーズ
- プロテイン食品
これらはあくまでも運動後の「補食」です。
日々の食事ではバランスに気を付け、栄養の偏りのないようにしましょう。
4‐5.良質な睡眠
睡眠は疲労回復に欠かせません。
眠っている時には、成長ホルモンが分泌され、筋肉痛の回復を促す作用があります。
良質な睡眠をとり、身体をしっかり休ませてあげましょう。
良質な睡眠得るためのポイントは以下の4つです。
- 夕食は。就寝3時間前までに済ませる
- 入浴温度は38℃~40℃くらい
- 入浴は寝る30分前には済ませる
- 寝る直前にスマホやPCをいじらない
生活リズムが整えば、身体の回復力も高まります。
回復力が高まれば、筋肉痛の辛さからも解放され、運動が苦痛でなくなります。
運動習慣が身につけば、筋力がアップし、次第に筋肉痛になりにくい身体へと進化していくでしょう。
5.まとめ
筋肉痛を防ぐ方法はたくさんあります。
せっかく自分自身のために始めた運動です。事前に筋肉痛を予防し、起きてしまった筋肉痛はできるだけ早く和らげましょう。
徐々に体力・筋力がつけば、次第に筋肉痛になりにくい身体へと変化していきます。
筋肉痛にならない人の習慣をお手本に、こまめにセルフケアしてスポーツライフを楽しみましょう。
【参考サイト】
第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/39_kinnikutsu/index1.html
Activeる!
https://activel.jp/articles/fnNQ5?page=2
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